10月のお知らせ <犬のアトピー ~まとめ記事~>

遅くなりましたが10月のお知らせです。少しづつ涼しくなっています。急激な気温差や湿度差で体調を崩しやすい時期です。実際、胃腸症状や皮膚症状が目立っています。続くようなときはお早めにご相談ください。また、犬連れでの秋の行楽、ドライブにも良い時期になりましたが、9月のブログで「犬の車の乗せ方」を解説しています。コチラもぜひ一度ご覧ください。

 

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犬のアトピー <まとめ記事>

10月になりようやく涼しくなってきました。

 

いわゆる「季節の変わり目」ということで、体調が変化しやすい時期でもあります。少し前は胃腸炎症状が流行っていました。そして、ここ最近は「皮膚が痒い」と言う症状、つまりアトピーなど、アレルギー性皮膚炎の患者さんにおいて症状が強くなったり、そんな時期となっています。

 

さて、当院はかねてから「慢性再発性の皮膚炎」の対策に力を入れています。

 

「慢性再発性の皮膚炎」の根本は「アトピー」や「脂漏症」という生まれ持った肌質であることが多く、その管理には「正しいスキンケア」がとても有効です。

 

過去にもたくさん「アトピー」「スキンケア」などについてはブログ記事を作成してきました。今回は「季節モノ」ということで、これらの記事を再度紹介しながらコメントを添えていきます。興味のある過去記事がありましたら是非ご覧ください。

 

犬の皮膚とスキンケア

まず、犬の皮膚についてお話しします。

 

「犬」はそもそもとても皮膚の弱い動物です。

 

猫に比べると圧倒的に皮膚のトラブルが多く、こんなに皮膚が弱い動物は他にないかもしれません。

 

なので、全ての犬で普段からの肌のお手入れ「スキンケア」が有効です。

 

モチロン、中には「比較的皮膚が丈夫」という犬もいますが、そういう犬も含めて、全ての犬でスキンケアに取り組んでいただくことを推奨しています。

 

女性の方にはよくわかっていただけると思いますが、普段からの肌のお手入れ、皮膚病だからやっているわけではありませんよね?ほとんどの場合、良いコンディションを保つために日々、肌のお手入れ「スキンケア」を実施しているはずです。

 

犬も同様で、特別に皮膚病じゃなくても「スキンケア」をやってほしいものです。しつこいようですが、そもそもとても皮膚の弱い動物ですから、ヒトよりもケアを必要としています。

 

スキンケアについては後ほど詳しく解説していきます。

 

アトピーって?

さて、では本題の「犬のアトピー性皮膚炎」についてお話ししていきます。

 

犬のアトピーを(厳密ではありませんが)一般の方向けにかみ砕いて説明すると

  • 皮膚にアレルギー反応がでやすい(痒みが出やすい)
  • 皮膚のバリア機能が弱い(保湿因子が足りない、ドライスキン)

このような肌質によるトラブルだと思っていただくと、治療に取り組む時に理解しやすいと思います。

 

なのでやることは

  • 痒みのコントロール
  • バリア機能の改善

この二つが主軸、治療対応におけるコンセプトになります。

 

「痒みのコントロール」については、過去ブログで詳しく解説しています。

2月のお知らせ <犬のアトピー ~痒みを抑える戦略~>

お薬を適切に使いながら、痒みをコントロールします。薬を使うことに抵抗のある方も一定数いるのですが、この後お話しする「スキンケア」を効率的に行うためにも、ある程度は痒みを抑えるお薬に頼る必要があります。

 

 

「バリア機能の改善」と言うのは、要は「保湿」です。つまり「スキンケア」をするということ。

スキンケアは、アトピーなど慢性再発性の皮膚病ではとても重要な対策なため、次項であらためてお話ししていきます。

 

スキンケアとは?

まず「ケア」と言うモノを理解しましょう。

 

「ケア」と言うのは調子が良い日、悪い日などは関係なく常に行うモノです。「今日は歯の調子がいいからハミガキは止めておこう」と言う人はいませんよね?

 

そして、犬は自分自身では「ケア」ができません。「ケア」は誰かがやらないといけません。

 

「ケア」の考え方については過去ブログをご覧ください。皮膚だけでなく、眼、耳、歯など様々な「ケア」についてお話ししています。

8月のお知らせ <できますか?~投薬、点眼、耳のケア~>

 

話を「スキンケア」に戻しましょう。

 

しつこいようですが「スキンケア」も毎日、コツコツ、調子の良し悪し関係なく取り組んでください。女性の方はよくわかると思いますが「今日は肌の調子がいいから、お手入れやめとこう」という人はいませんよね?最初に述べたようにすべての「犬」において、肌はとても弱いので常にケアが必要です。

 

さて「スキンケア」において最も重要こと。それはアイテムの選び方です。

 

「ウチは犬用シャンプー使っているから大丈夫!」と声高に言う人がいますが「犬用シャンプー=犬にしか使わないでね」と言う意味です。むしろ「危険なモノだから人には使わんで!」というように言い換えて理解して方がいいです。モチロン全製品がそうだというわけではありません。が、この業界では結構な粗悪品が出回っているのも事実。

 

洗浄液(シャンプー剤)、保湿剤、消毒剤など、スキンケアで使うアイテムはいろいろありますが、これらの選択でスキンケアの結果は天と地との差ほど大きく変わってきます。

 

アイテムの選択によっては、良かれと思っているケアがむしろマイナスで「皮膚に悪影響」なんてこともぜんぜん珍しくありません。

 

その一例として、刺激の強い殺菌シャンプーで洗浄を続けた結果、接触性皮膚炎を併発、皮膚がボロボロになりやってきた転院症例についてまとめたブログ記事を紹介しておきます。

スキンケア治療レポート ~犬の接触性皮膚炎~

恐ろしいのは、ケアとして使っているアイテムは獣医師が紹介しているということ。

 

すべての獣医師やトリマーが正しいアイテムを紹介できるわけではないのが実情です。

  • 「トリミング室でシャンプーしてもらうと必ず皮膚が痒くなる」
  • 「薬用シャンプーを使ったら皮膚が赤くなってしまった」

と言うのは当業界ではあるあるの、本当に良くある話です。これらのケースでは、おそらくシャンプー剤などによる「接触性皮膚炎」が起きています。

 

多くの獣医師やトリマーは「接触性皮膚炎」という概念がそもそもアタマからないため、そういう発想になりません。

 

しかし、動物領域で販売されているアイテムは本当に粗悪品が多く、犬がしゃべらないので表沙汰にはなりにくいのですが、潜在的な接触性皮膚炎の患者さんは多数いると思われます。

 

前置きが長くなりましたが、当院で取り扱っているスキンケア用アイテムは、接触性皮膚炎が起こらないよう、自信をもってお勧めできるモノだけとしています。

 

当院推奨のケアアイテムは「N’s Driveシリーズ」を基本としています。このシリーズはスキンケアに精通している獣医師、中島尚志先生(※獣医版ブラックジャックとも言われるスーパー外科医ですが、あらゆる医療分野に精通しており、スキンケア領域や皮膚科学における知識量もハンパじゃありません)が監修しており、犬の皮膚を正しく科学し、それに合わせた洗浄&ケアが可能なものとなっています。もちろん、ヒトで使用しても全く問題ないハイグレードなケア製品です。

N’s Drive製品の紹介ページ

 

その他に、シャンプー剤としては幅広い犬に使用が可能な「テルメディックシャンプー」を愛用しています。

テルメディックシャンプー メーカー紹介ページ

 

このラインナップだけで、問題なくスキンケアが可能です。特別に薬用、殺菌シャンプーなどは必要ありません。

 

細かいスキンケアの概念については、Q&A形式のブログ記事がありますのでコチラをご覧ください。

スキンケア Q&A (2021.2月更新)

当院のyoutube動画ではスキンケアの具体的手法を解説しています。

 

細かい疑問や質問は、診察時に遠慮なくお問い合わせください。

 

痒みがあればアトピーなの?

さて、アトピーとスキンケアについてお話してきましたが、皮膚が痒くなる病気は全部「アトピー」なんでしょうか?

 

こう聞けば答えは自ずとわかると思いますが、モチロン、アトピーだけではありません。

 

確かに現場ではアトピーの患者さんがとても多いのは事実ですが、当然ほかの可能性も考えていきます。

 

例えば、アトピー以外の「別の一次要因」が原因で皮膚が弱くなり、そのため細菌や真菌など微生物が増え(二次感染)、強い炎症のため皮膚が痒くなっているかもしれません。

 

当たり前ですが、痒い=アレルギーではなのです。

 

この辺は、私たちもプロですから、ご家族のお話をよく聞いたり、症例の全体像をよく見て「アレルギーっぽいのかどうか」注意して検討します。

 

実は、この最初の「入口」で誤った初期判断をすると治療や検査が「迷宮入り」になりがちなのが皮膚科なんですね。なので初診時に、病態を正しく理解しようとするスキルがとても重要です。

 

過去に、初期判断(臨床診断)を間違えたため、迷宮入りしそうになっていた転院例があり、ブログで紹介しています。「確定診断は必要か?」というタイトルですが、確定診断はすぐに出るものではありません、が、初期に行う「臨床診断」が迷宮入りとならないためにいかに重要かをお話ししています。皮膚科では特にこの判断が重要だと個人的に考えています。

7月のお知らせ <確定診断は必要か?>

この症例ように、皮膚が痒くなる病気は、アトピー、アレルギーだけではありません。

 

皮膚科、アトピーなどの話に限りませんが、正しい病態把握は獣医師にとってとても重要な作業で、治療の成否に大きくかかわってきますから、常に気を抜かぬよう診療にとりくんでいます。

 

まとめ

アトピーなど慢性再発性の皮膚病はとても多く、悩んでいる患者さんがたくさんいらっしゃいます。

 

残念ながら、根本から治すことはできないので、どうやって上手にお付き合いができるか?がポイントです。

 

SNS全盛期の現代では、色々な情報が交錯しておりアタマの中がごちゃごちゃになっているご家族が多いのですが、この分野、実はそれほど難しい話はありません。

 

  • 正しい病態把握(本当にアトピーなの?)
  • 適切な投薬(痒み止めの使用、二次感染の制御)
  • 正しいスキンケア(接触性皮膚炎に注意!)

 

あるのはこれだけです。

 

魔法のような方法はなく上記の対応を、適切に行うだけなんですね。

 

病態把握と適切な投薬は獣医師、われわれの役割です。スキンケアについてはご家族の力が必要です。つまり、アトピーなど慢性再発性の皮膚病をコントロールする場合、ご家族の力もとても重要になるわけです。

 

どうしても「何とか根治したい、ラクにケアしたい、自分の知らない何かあるんじゃないか?」みたいに考えてしまう人がいるのですが、皮膚科の領域は詐欺まがいのビジネスが横行していますのでご注意ください。

 

  • サプリだけで痒みがなくなる
  • 特別食でアトピーが根治
  • 特製の油を塗れば治癒
  • アトピーが治る魔法の水

 

こういったアトピービジネスがSNSなどで拡散されています。古くは人間のアトピー領域でも同様のこと(アトピービジネス)が起こり社会問題となりました(今も根強く残っているようですが)。

 

どうやら、詐欺師たちは「犬のアトピー」に矛先を向けてきているようです。

 

くどいようですが、アトピーが一発でなおるような魔法の方法はありません。「あなただけへの特別な情報」なんてものもありません。

 

結局は、地道な対応しかありません。獣医師の適切な診断と処方、日々のスキンケア、これしかないのです。ラクな道ではありませんが、愛犬の皮膚のため、ぜひスキンケアに積極的に取り組んでください。わからないことはいつでも相談してくださいね!

 

長くなりましたが今回はここまで!