スキンケア Q&A (2021.2月更新)

当院では犬の慢性再発性の皮膚病の治療の一環として、以前から「スキンケア」を強く推奨しています。多くのワンちゃんがスキンケアを取り入れることで、皮膚病の管理が楽になっています。

さて、ここ最近スキンケアに関する質問がだいぶ多くなっていますので、ここでまとめておきたいと思います。是非参考にしてください。

 

そもそもスキンケアって何?

そんなに難しいハナシではありません。単に「皮膚のお手入れ」のことです。私たちも日々、肌のお手入れをしますよね?それと同じことで犬も「皮膚のお手入れ」=「スキンケア」をすることが理想なんです。実は犬はヒトよりもはるかに皮膚が弱く、こんなに皮膚病の多い動物は犬ぐらいと言われています。ですので、犬はむしろ私たちよりも、もっとたくさんのスキンケアを必要としているのです。

犬の場合はスキンケアを自分ですることはできないですから、ご家族がケアをしてあげる必要があります。スキンケア以外にも、ハミガキ、ブラッシングなど日々実施してほしいケアは他にもたくさんあるのですが、すべてご家族の手が必要なんですね。
スキンケアの具体的なやり方は?

スキンケアは大きく分けて、①キレイにする、そして②保湿をする、の2つの作業だと思っていください。「①キレイにする」手法として、洗浄(=シャンプー)や消毒があります。「②保湿する」は基本はキレイにした後に行います。

スキンケアは「皮膚に有害なモノの除去(洗浄)」「皮膚に足りないモノの追加(保湿)」、この2つだと理解すればシンプルです。
市販のシャンプーでスキンケアできる?

正しいスキンケアをするためには、正しいアイテムの選択が超・超・超重要です。アイテムの選択が間違っているとむしろ逆効果になってしまいます。当院では正しいアイテムをご紹介していますが、巷で販売されているモノ(シャンプー剤や保湿剤)は9割以上がスキンケアに適していません。どうぞご注意ください!

薬用~~、や抗菌~~などという商品も聞こえはいいですが、ことスキンケアに適しているどうかに関しては疑問大です。アイテム選びは本当に重要なので、正しくスキンケアがしたいのであれば必ずご相談ください。
スキンケア用のアイテムはどうやって選べば良いの?

まずは最低限の評価として「全成分表示」のある製品を選んでください。後ろめたいことがなければ全成分表示をしない理由がありません。ですので、全成分表示ができない製品というのは「そういう」ことなのです。成分表示にはメーカーの姿勢も出ていると思ってください。基本は全成分表示をしないメーカー=信頼のできないメーカーと思ってもらってOK。使用成分についてはメーカーに問い合わせても教えてくれない場合すらあります。そういうメーカーや製品は絶対にNGです。なお、全成分表示の有無は最低限の評価項目です。続いて評価するのは、安全性と洗浄力。実はシャンプー剤は「安全」「きちんと汚れが落ちる」この二つを満たしていれば、それだけでいいのですが、そのシンプルなモノがなかなかないのが現実です。選び方がよくわからなければ、当院で推奨しているアイテムを選択していただければ間違いはありません。

なお、その他の付加価値をつけたシャンプー剤はロクなモノがありません。決して選ばないでください。その他の付加価値とは、「リンスイン~~」「抗菌~~」「ノミ取り~~」などのシャンプーです。シャンプー剤に求められる機能は「きちんと汚れが落ちるかどうか」です。他の価値は一切必要ありません。
スキンケアで皮膚病が治るの?

結論を言うと、スキンケアでは皮膚病は治りません。「え?じゃあ意味ないじゃん」と思われる方がいるかもしれません。スキンケアはあくまでも「ケア」であって「治療」ではないのです。なお、対象の慢性再発性の皮膚病、つまりアトピー性皮膚炎や脂漏症などは基本的には生れ持った肌質の問題で、根本治療は無いと思ってください。しかし、正しいスキンケアを取り入れることで、投薬の量をうんと減らせるケースがあります。先日来院したアトピーのフレンチブルの子は、現在は毎日洗浄(スキンケア)しているそうです。結果、現在は投薬無しでとてもいい皮膚コンディションを保てています。もちろん個体差はありますが、スキンケアをすることがマイナスになることはまずありませんので、当院としては治療オプションの一つとして強くオススメしているのです

「ケア」とは病気の予防や症状の軽減を目的として、基本的には症状が良くても悪くても定期的に実施するモノです。たとえば私たちヒトの代表的な「ケア」は歯みがき。毎日数回は歯みがきをしますよね?毎日歯をみがく「ケア」をすることで虫歯や歯周病を予防しています。虫歯になってから一生懸命歯みがきを始めても意味はありません。虫歯になったら「治療」するしかないのです。このように「ケア」は病気にならないように実施するモノです。話をスキンケアに戻すと、アトピーなど治らない皮膚病のコントロール(軽減や予防)のために、症状が良くても悪くても定期的(できれば毎日)に実施します。「ケア」ですから「やったら治る」というような魔法の方法ではありません。
皮膚病じゃないからスキンケアは必要ない?

みなさんは皮膚病を理由に、毎日お肌のお手入れをしていますか?ご自身が、アトピー性皮膚炎などのため、そのケア目的で実施してる方もいるでしょうが、多くの方の答えは「No」だと思います。皮膚病でなくても、良い肌コンディションを保つために実施していますね。犬でも同様のことが言えます。皮膚も臓器ですから、歳とともにどんどん老化していきます。スキンケアをしていると年齢を重ねても良い皮膚コンディションを保つことができるのです。

歳を重ねても良い皮膚コンディションを保つ、これを「良い」と考えるか「どうでもいい」と考えるかは個人(飼主さん)の価値観によるかもしれません。
洗浄(=シャンプー)は2週間に1回までしかダメって聞いたけど・・・?

とてもよくある質問です。「シャンプーは週何回までOKですか?」と聞かれることも多いです。結論から言うと「正しいアイテム」を使って「正しい方法」で実施すれば毎日でも洗ってOKです。皮膚病に対するスキンケアの場合、可能なら毎日やっていただきたいぐらいです。よくある「2週間に1回しかダメ」などという謎の都市伝説は、おそらく質の悪いアイテムを使っているからそういうハナシになるのだと思います。つまり「危険なシャンプー剤で洗うからそんなに頻繁には洗えないよね」ということ。もし、自分自身に使うシャンプーを買うときに「このシャンプーは月2回まで!」と書かれていたらその製品を買いますか?、そういうことなんです。

気をつけなくてはならないのは、獣医師でもこういう危険なシャンプー剤を推奨していて、その危険性に気づいていないことも多いということ。以前、皮膚科専門を謳っている獣医師が書いた薬用シャンプーの論文で「週2回の洗浄で、4回洗った時の有害事象が7%なのでこの薬用シャンプー剤は安全だ」と結論づけていました。たった4回しか洗っていないのに14頭に1頭で有害事象が出るんですよ?もっと洗えばもっと増えますよね?人間だったら健康被害で製品自主回収どころか、訴訟を起こされて簡単に負けてしまうような事例です。皮膚科専門を謳っていてもこの程度の分析能力。そして、このデータを一般の動物病院の臨床医が利用するわけですから、獣医師推奨!でも注意が必要と言うことがよくわかると思います。
他の病院で勧められたシャンプーを使うと赤くなったり痒くなります。

シャンプー剤の毒性や刺激性が強すぎると、接触性皮膚炎が起こり、皮膚が痒くなったり赤くなったりします。前述しましたが、スキンケア目的の場合は、アイテムの選び方はとても重要で、毒性や刺激性が強いシャンプーはスキンケアには使えません。以前、他の動物病院で処方された殺菌性の薬用シャンプーを数年間使い続けていたアトピーのワンちゃんがセカンドオピニオンで来院。皮膚はもうそれはかわいそうなぐらいにただれていました。すぐに今のシャンプー剤の使用を中止し、当院推奨のスキンケアを実施してもらいました。次の診察では見違えるような皮膚のコンディションとなっていました。つまり、シャンプー剤による接触性皮膚炎が起きていたわけです。悲しいことに、洗えば洗うほど悪くります。このワンちゃんは正しいスキンケアを取り入れ、少しづつ飲み薬を減らしています。ワンちゃんは痒みのストレスから解放され、皮膚からの悪臭もほとんどなくなったことでご家族もとても満足されています。

一般の動物病院では、このような殺菌シャンプーをすぐに処方します。皮膚が丈夫な犬では問題が出ないこともありますが、アトピーなど「肌のバリアが弱い犬」では簡単に接触性皮膚炎が起こります。獣医師が処方した薬用シャンプーでも、使えば使うほど悪くなることだってあり得るのです。
皮膚の調子が良くなったので、ケアは止めてもいい?

スキンケアだけだなく、すべての「ケア」は調子の良し悪しで止めたりするモノではありません。「今は歯の調子がいいから歯みがきはやめとこう」というヒトはいませんよね?くどいようですが、ケアとはそういうモノなのです。スキンケアも同様で、調子が良いからやめて、悪くなったら始めるというモノではありません。どうしても、調子が良くなるとサボりがちになってしまうのが人情ですが、むしろ、調子の良いときは「治療」の手を緩めていますので、いつも以上にケアを頑張っていただきたいぐらいなのです

「ケア」というモノの本質を正しく理解していただくと「毎日必要なんだな」ということがわかっていただけると思います。
スキンケアは面倒です。この水を飲めば一発でアトピーが治ると聞いたのですが・・・?

「根本的に治したい」もしくは「楽したい」という思いが強すぎると、このような「アトピービジネス」に引っかかってしまいます。「水」だけでなく「この油を塗れば治る」とか「ホメオパシーで根治」なども同様。すべて「治したい」「楽したい」という欲求が根源になっています。残念ですが、犬のアトピーや脂漏症などは根本治療はできないと理解してくださいそして楽に管理できる方法もありません。状況によって、投薬によりしっかり治療をすること。そして、根気よくスキンケアを実施すること、確かに手間はとてもかかりますが、最終的にはこのような地道な対応が近道となるのです。

少し話はそれますが「楽して○○!」というのはめちゃくちゃ儲かるビジネスモデルなんですね。「楽してダイエット!」「楽して勉強ができる!」「楽してお金を増やす!」こういうモノは全てサギだと思って丁度いいぐらいの感覚でいてください。動物業界でもおんなじ様なビジネスが横行していますのでどうかご注意を!

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