4月のお知らせ <フィラリア予防の細かいお話>

遅くなりました。4月のお知らせです。この時期は病院が混みあう時期(ワンコの予防関連の来院が多いため)です。当院では予約制を導入し混雑緩和に努めていますが、それでもいつもより待ち時間が長くなることがあります。ご理解ご協力よろしくお願いします。

土曜日は特に混雑しますので、時間に余裕のある方は平日(特に午後は予約が取りやすいと思います)の予約をご検討ください。

 

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フィラリア予防の細かい話

4月も中盤、犬猫ともにフィラリア予防の時期が間もなくやってきます。犬の場合はフィラリア予防前に検査が必要で、すでに多くの方が検査を済ませています。ただ、まだの方も予防開始は5月末ごろからですから焦らずにご来院ください。猫ちゃんの場合は検査の必要はありませんのでお気軽にご相談ください。

 

さて、今回はフィラリア予防のちょっと細かいお話をしたいと思います。「フィラリアって何?」とか「フィラリア予防とは?」という基本的、シンプルなお話しについては過去ブログをどうぞ。

各種予防のご案内~完全版?~(2024.3月)

予防関連、間違えやすい落とし穴(2023.5月)

フィラリア予防詳しく解説(2021.6月)

 

過去のブログを読めばフィラリアについての基本的なことはわかると思います。

今回はフィラリア予防に関する「ちょっと細かくてやや専門的になるけど知っておいてもイイかな?」ということについて、皆様からよくいただく質問をQ&A形式で触れたいと思います。「細かい話は難しいからイイ」と言う人は読み飛ばしてください。

 

フィラリアとノミダニをまとめて予防できる薬があると聞きました。それが欲しいのですが…?
当院では「フィラリア」と「マダニやノミ」の予防薬は「別々のお薬」での予防を推奨しています。一緒に予防できるお薬は取り扱っておりません。

「フィラリア」と「マダニやノミ」を一個のお薬で一緒に予防できる薬、というものがあります。「オールインワン式の予防薬」と呼んだりします。この、オールインワン式を好んで採用する病院さんもありますが、当院では取り扱っていません(※オールインワン式の代表「ネクスガード・スペクトラ」「クレデリオ・プラス」など)。

 

これには当院なりの理由がいろいろあるので、それについて解説したいと思います。

 

まず、当たり前のことですが「フィラリア」と「マダニやノミ」は全く別のモということを理解していただきたいと思います。なんだかどれもゴチャゴチャで一緒くたに考えている方が少なからずいるようです。違う虫たちですから当然「感染経路」「予防期間」「使用するお薬」などなど全てが異なります。「全く別の病気」と思ってください。別の病気なんですから治療法や予防法が違うのは当たり前。むしろ一緒の方が不自然です。なお、被害の規模もマダニやノミが非常に多く近年増大傾向なのに対し、フィラリアは予防の普及とともに近年は減少傾向となっていて被害数もぜんぜん違います。

 

「違うモノなんだから、違うお薬で予防しようね」と言うのがまずは当院の基本のスタンスです。

 

その上で細かい話になりますが「オールインワン式のお薬を採用しない理由」について2つのポイントをお話ししていきます。

 

まず一点目。両者の「予防期間の違い」を考えてみましょう。

 

過去にも何度かお話ししていますが「フィラリア」が明確に予防期間が決まっている(5月末~12月初ごろ)のに対して、「マダニやノミ」は年間を通して被害があり予防期間は決まっていません(=通年予防を推奨)。

 

もし、オールインワン式のお薬で「フィラリア」と「マダニやノミ」の両方を予防をする場合は

  • 5~12月→オールインワン式のお薬で予防
  • 1~4月→マダニやノミだけの予防薬を使用

となるため、結局二種類の予防薬を使うことになります。もっとも「一年間ずっとオールインワン式のお薬を使うからいいんだよ」でも構いませんが、1~4月までのフィラリア予防の分は無駄になる計算です。

 

さて、当院では両者は異なる存在ですから別のお薬を使い

  • フィラリア予防は5月末~11月末(もしくは6月初~12月初)
  • マダニやノミの予防は年間を推奨(生活スタイルやリスクによって予防期間を検討)

としています。

 

どちらがシンプルに感じるでしょうか?私、個人的にはそもそも「違う虫」「違う病気」なんですから「違うお薬で」と考える方がシンプルだと思っています。そして、フィラリアやマダニ・ノミの対策はペットを飼うご家族にとって基本中の基本なので、できれば両者の違いをよく理解していただいて、意味を分かったうえで予防に取り組んでいただきたいとも思っています。

 

オールインワン式のお薬を希望される方は、ちょっと言葉が悪くて申し訳ないですが、「よくわけがわからないで予防している」方が多いように感じています。両者の病気がどんな病気かは理解していないと感じることが少なくありません。

 

当院をご利用の皆様には、できるだけ理解したうえで必要な予防をしていただきたい、そんな思いがありオールインワン式のお薬を採用していません。

 

さて、もう一つ、オールインワン式のお薬を採用しない理由があります。

 

それはオールインワン式のお薬は二種類の薬効成分「成分A」と「成分B」を混ぜた薬である、ということに理由があります。

 

くどいですが「フィラリア」と「マダニやノミ」は別の虫ですから別の成分でないと予防できません。フィラリア予防の「成分A」と、マダニやノミ予防の「成分B」を混ぜたお薬ということですね。ですから「成分A」と「成分B」の作用の仕方も当然異なります。

 

フィラリア予防については、投薬したその一点で「成分A」がフィラリア幼虫を退治することで予防効果を発揮しています。

 

これに対し、マダニやノミ予防については、投薬したタイミングから一か月(製品によっては三か月)ほど「成分B」の予防効果が持続します。「成分B」によるマダニやノミの予防効果は、時間とともに少しづつ落ちていき、約一か月で予防効果が弱くなります。そのため、マダニやノミの予防については、効果が弱くなるタイミングでは「マダニやノミに咬まれてしまった」ということがあり得るわけなんですね。

 

さて、この時に「もしかして、フィラリアも予防できていないのでは?!」と不安になってしまう方がいらっしゃいます。まあ当たり前ですよね。「マダニやノミがついてるのにフィラリアは大丈夫ですよ」と言われても感覚的には信用しずらいでしょう。獣医師はただでさえ疑われやすいので(笑)。実際は予防成分が違うためフィラリア予防はできているのですが、このように無用な誤解や不安を与えてしまうこと自体がよくないと私は思っています。

 

まとめると、当院ではオールインワン式のお薬を採用していません。理由は、

  • 「フィラリア」と「マダニやノミ」は違う虫
  • 「フィラリア」と「マダニやノミ」は予防期間が違う
  • 「フィラリア」と「マダニやノミ」は違う成分で予防している

このような理由から両者をまとめてバッサリ予防するのではなく、それぞれの虫、病気をよく理解していただいて必要なものを予防していただきたいと思っています。

 

 

すでに蚊が出ていて心配。5月末からじゃなくて4月に予防開始しなくて大丈夫?
フィラリアの感染様式は明確にメカニズムが解明されています。よほどの異常気象ではない限り5月末からの予防で十分間に合います。

 

蚊が出てくると心配!と言う方がとても多くいらっしゃいます。実際、この地域でも現在(4月)すでに蚊が発生している場所もあるようです。フィラリアは「蚊」が運んでくるわけですから「蚊が出たらフィラリアになっちゃうかも?」と心配になるのも無理はありません。しかし、結論から言うとこの地域の予防開始は5月末からで十分間に合います(※よほどの異常気象の場合は変わる可能性がありますが、それでも少し早くなる程度です)。

 

理由は、蚊が発生してもフィラリア感染がすぐに成立するわけではないからです。確かにフィラリアは蚊が運んできます。が、生まれたばかりの蚊にはまだ肝心の「フィラリア」は入っていません。

  1. まずは蚊の体内にフィラリアが入る必要が有ります(蚊がフィラリアの犬を吸血する)。
  2. 蚊の体内に入ったフィラリアが感染力を得るためには、蚊の体内でしばらく成長する必要がります。

 

感染が成立するには上の2つのステップが必要なんですね。この二つが成立するのが速くても5月上旬となります。

 

さて、カンのいいアナタは気づいたと思います。「予防開始は5月末。感染成立は5月上旬。おかしくない?」と。

 

このタイムラグは何なのか?実はこれにもちゃんとした明確な理由があります。

 

感染成立は5月上旬。この時にワンコの体内にフィラリアが侵入したとします。ここですぐにお薬をやりたい気持ちもわかりますが、実はワンコの体内に入ってすぐのフィラリア幼虫には、フィラリア予防薬が効きません。予防薬が効くにはワンコの体内に侵入したフィラリアが「少し成長」する必要があるんですね。お薬はフィラリア成長過程の「ある点」で効果を発揮することができるのです。これについての「何で?」はそういうモノと思ってください(笑)。ですから「感染してすぐの投薬」ではなくて「感染後フィラリアがちょっと成長してから(これがおおよそ2週間)」の投薬開始となるのです。

 

こうして「感染成立は5月上旬」「予防開始は5月下旬」ということが科学的に導き出されています。まとめると蚊の発生からフィラリア予防開始までは

  • 蚊の体内にフィラリアが侵入
  • 蚊の体内のフィラリアが感染力を持つ
  • 犬の体内に入ったフィラリアが少し成長する→この時点で初めてお薬の意味があります。
というタイムラグがあるため、蚊が出てすぐの投薬とはならないのです。

 

フィラリア予防薬が欲しいけど、検査が必要なのはなんで?前の病院では検査なんてしなかったけど?
フィラリア予防薬は要指示薬となっていて、適切な診察や検査を実施してから処方することが義務付けられています。そのため当院では診察とフィラリア抗原検査を実施後の処方としています。

 

当院ではフィラリア予防前に「フィラリア抗原検査」を実施しています。これは、各フィラリア予防薬の能書(説明書)にそのように記載があるためです。現時点ではフィラリア予防薬は要指示薬に分類されていますから、獣医師としては極力決まりに則った使い方をする義務があると考えています。

(※検査をしない病院は、獣医師の裁量で説明書や能書きを無視しているということになります)

 

フィラリア予防薬は安全性の高い薬ですが、最も危険な副作用が出るのは「フィラリアに感染している症例に投薬した場合」となります。フィラリア感染を確認しないで投薬した場合はこういうリスクがあることを理解しなくてはなりません。

 

「説明書に沿った使い方をせずにワンコを死なせてしまった」と言うのは絶対に避けなければならないので、当院ではフィラリア抗原検査を実施しています。もし時代が変わり、フィラリア予防薬にそのよう記載がなくなったり、あるいはOTCでの販売が許可されたりすれば、当院でも検査を省略する時代が来るかもしれません。

 

しかし、フィラリアは少なくなったとはいえまだまだゼロではなく、当院周辺エリアでも時々診察します。しばらくは、フィラリア抗原検査で安全を確認してからの処方となりそうです。

 

ネットでフィラリア予防薬を買ったんだけど、ウチのわんこにコレを飲ませても大丈夫ですか?
時々ある質問ですが、結論を言うと、処方した獣医師に服用の指示もしていただくようお願いいたします。フィラリア予防薬は要指示薬です。つまり処方した獣医師が服用について指示する必要があります。診察や処方をしてない獣医師には投薬の指示をする権限はありませんし、してもいけません。

 

インターネットで何でも買える時代になりました。フィラリア予防薬も色々な抜け道があるのか、インターネットで購入をしている方を時々見ます。また海外からの個人輸入と言う手もあるようです。どのような方法で入手しようとも、それは個々の判断なので何も問題はありません。が、投薬についての指示は、購入先に聞いてもらう必要があります。処方をしていないものが服用の指示するのは、場合によっては違法となります。よってこのようなケースでは当院からの指示はできません。

 

同様のハナシとして「お友達からもらった」というのがあります。「お友達のワンコが亡くなってしまって薬が余った」とか「お友達がまとめて購入して周りに配っている」などを理由として聞いたことがあります。こういうケースも同様で、当院が処方してないお薬について服用の指示は出せません。

 

これは意地悪で言っているのではなく「薬」には様々な法律が関係しており「そういうこと」になっているのです。以上のようなケースを非難するわけではありません。ただ、当院以外で予防薬を入手したケースでの服用の際は、自己責任でお願いするしかないのです。

【はとりの動物病院】診療時間

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