6月のお知らせ <健康診断 ~血液検査の考え方~>

大変遅くなりましたが6月のお知らせです。ボチボチ本格的に熱い時期となります。

犬や猫もモチロン熱中症になります。と言うと「え?!、犬や猫もなるんですか??」とビックリされる方も多いのですが、フツーに良くある話です。

私たちと同様、車内や閉め切った空間は特に注意をしてくださいね⚠

 

もう一つ、フィラリア予防の開始時期にもなりました。まだの方もこの記事を読んで、慌てずご相談くださいね!

 

フィラリア予防始めましたか??

さて、今シーズンのフィラリア予防が6月頭(もしくは5月末)からスタートしました。

 

多くの方で、すでに検査とお薬の処方が済んでいると思います。

が、「まだ予防の準備ができていない!どうしよう?」と言う人も焦らずにご来院ください(^^)/

 

フィラリア予防は少し遅くなってしまっても予防効果は十分期待できます。時々「もうシーズン過ぎたから諦める(T_T)」という方がいますが、ぜんぜん悲観することではありません。

 

フィラリアの予防と言うのは、フィラリアの幼虫が感染後、しばらくしてから開始するものなのです。

 

「感染したフィラリア幼虫が成長して心臓に住み着く前に駆虫しよう!」と言うのがフィラリア予防の根っこの考え方。

ですから理論的には少し遅くなってもカバーできる可能性は高くなります(なので4月など早くから始める意味はないですが、12月など遅く終わる方の意味が大きいのですね)。

 

これには、寄生虫の感染様式やライフサイクルが関係し、語ると専門的で難しいので「そういうものだ」と思ってください。

 

「なぜ?」については詳しく知りたい方は先月の記事<5月のお知らせ 予防関連の落とし穴>も合わせてご覧くださいm(__)m

 

なお、予防をご希望の方はフィラリア検査が必要です。すぐに終わる簡単な検査ですからお気軽にご相談ください。

 

健康診断の結果、どうでしたか?~血液検査の考え方~

今年もたくさんの方に「春の健康診断※」を受けていただきました。

※春の健康診断キャンペーンを実施中! フィラリア検査と同時の場合に限り、キャンペーン価格の4000円で一通りの血液検査が可能です。結果報告までに2週間ほどいただいていますが、健康なペットだと血液検査をする機会は少ないですよね?ぜひこの機会にご検討ください!

 

さて、健診の結果について。今年もたくさんの結果を見てきましたが、幸い大きな病気を疑う動物はまだいないようです。良かったです。

ここでは、健診(血液検査)でよく見られる結果について、その解釈の仕方をコメントしておきます。「血液検査」と言うモノの意味や考え方もわかると思うので、参考にしてみてください。

 

血液検査では病名はわからない

まず、大事なこととして、血液検査だけでは病気の診断はつかないことがほとんどです。つまり病名がわかるわけではないとうこと。

 

血液検査の結果が出ると「うちの子は何病なんですか??」とよく聞かれます。心配ですからお気持ちはよくわかりますが、実は血液検査と言うのは病名がわかる検査ではありません。

血液検査は「血液中に存在する様々な項目を測定してその数字が出るだけ」、ただ数字がでるだけの検査です。そこから先の診断は、様々な検査や状況を組み合わせて総合的に推測していきます。

 

わかりやすいように、例を挙げましょう。

 

血液検査の結果、血糖値が高かったとします。だいたい100前後の数字のことが多いのですが、この数字が300だったとしましょう。

「血糖値がそんなに高いなら糖尿病だろ」と思うかもしれません。

が、血液検査というのは「血糖値が300という数字です」と言っているだけなのです。そこに診断名は書いてありません。モチロン、血糖値が高ければ糖尿病も考えますが、別の理由で上昇することもよくあります。なので高血糖=糖尿病、ではないのです。

 

肝酵素でも同様です。「肝酵素が高い」という結果が出ると、多くの方が肝臓病、肝臓が悪いと思い込んでしまいます。

ヒトによっては焦ってしまい、すぐさま肝臓用の治療用食を買いに行ってしまいます💦。ちなみに、肝臓病用の食事は基本は「肝不全」という状況で使用すべきもので、肝酵素が高いという理由だけで使用するものではありません。むしろマイナスになることさえあり得ます。肝酵素については一過性の原因不明の上昇もよくあるので、軽度なものは焦る必要はありません(後程解説します)。

 

血糖値と同様、肝酵素においても、肝酵素が高い=肝臓病ではないのですね。

 

言いたいことは血液検査だけでは病気は決まらないということ。

 

現場では、血液検査の結果だけでなく、患者さんの症状や身体検査、そして、その他の検査を組み合わせながら病気の疑いがあれば病気を絞り込んでいくことになります。その手始めとして血液検査のデータが手元にないと、何も始まりません。病気を絞り込む作業に血液検査は絶対にハズせない検査の一つなのです。

 

「血液検査は病名はわからないけど、カラダのいろんな情報を得られる」そんなイメージの検査と言う感じでしょうか。

 

さて、以下は健診でよくあるパターンについて少し解説していきます。

 

①中性脂肪が高い

食事を抜いていないと、中性脂肪が高くなりやすいです。もし高い数字が出た場合は完全絶食(食後16時間以降)で再度血液検査をすることが理想です。この絶食状態でも中性脂肪が高い場合は、高脂血症と判断されます。

猫では少ないですが、犬では遺伝などもともと高脂血症傾向の犬が存在します。犬種では、シェルティー、シュナウザー、シーズー、トイプードルなどでよく見られます。

絶食状態で検査してもいつも中性脂肪が高い犬では、脂質代謝が苦手ということ。膵炎など消化器疾患ののリスクがやや高めなので、常日頃から食生活に気を遣ってもらう必要が有ります。もしすでに肥満であれば減量も重要。食生活が乱れてるケースでは要改善です!

 

 

②肝酵素が上昇

くどいですがまず大事なこと。肝酵素が上昇=肝臓病と決まるわけではありません。

軽度の肝酵素の上昇の場合は、原因不明の一過性のことも多々ありますので、すごく心配する必要はありません。通常はしばらくしてからの再検査がひとまずの提案となります。

 

さて「肝酵素」と言うモノを少し解説してみましょう。

肝酵素は「肝臓の細胞が壊れたときに血液中で増加する」そんなイメージです。

「肝臓の細胞が壊れる」と聞けばビックリする人も多いでしょうが、肝細胞は常に壊れたり作られたりを繰り返していますのでそんなにビックリすることではありません。

ですから最初に述べたように「肝酵素が高い=肝臓病ではない」のです。肝細胞が一時的に頻繁に作り変えられている状況であればどんな理由でも上がるわけなので。

 

むしろ肝臓病と言うより、最近の動物では「食生活などの生活習慣が問題で肝酵素が上昇している」と思われるケースが多いと感じます。食生活が乱れている動物では、常に肝臓を含めた消化器系や代謝系が頑張っている状態です。そのため肝酵素や脂質(中性脂肪やコレステロール)がいっつも高めになっている、ということも珍しくありません。

 

健診で肝酵素が高いとお話しすると「肝臓病なんて大変!」とか「肝臓が悪いの?」と慌てる人が多いのですが、そういう方のペットは肥満のことがとても多いです。単に食生活の問題や肥満の結果として昇しているだけなのかもしれません。肝臓がと騒ぐのではなく、まずは普段の生活を見つめ直すことが重要かもしれないのです。

 

再検査にて、肝酵素が持続的に上昇している場合は、投薬や画像検査を追加することも検討して行くのがまずは一般的な対応です。

 

 

③その他、わずかに基準外の項目について

中性脂肪や肝酵素以外にも、基準値からわずかに外れた結果が出ることはとても良くあります。

 

これも、基準値から少しでもズレたら病気というわけではありません。

基準値と言うのは健常な動物の95%がこの範囲に入る、という数字です。ですから、くどいようですがズレたらすぐ病気&異常ではないということ。

 

体液バランスの指標(ナトリウム、カリウム)、水分状態の指標(尿素窒素、総蛋白)などはその日のコンデションで上下しますし、基準から少しズレることも珍しくありません。

 

基準外の項目があるからと言って、すぐに慌てる必要はありません。もちろん基準から大きく外れたり、明らかに病的と判断した場合は私たちの方から早めのご連絡を差し上げるようにしています。

 

 

さいごに

血液検査は診療現場では「超・超・超重要な検査の一つ」です。が、これだけで診断が出ないのも事実。

 

結果が出たら、他の状況証拠をふまえて総合的に判断~診断していきます。

 

病気の診断時におけるモノの考え方については、病院の看板猫「なこ」のブログ記事が参考になるかもしれません。「なこ」がリンパ腫と言う悪性腫瘍になってからもう4年ぐらいになります。当時実施した血液検査だけでなく各種検査の進め方、診断に至るまでのモノの考え方などをブログ記事で綴っていますので、興味のある方はぜひご覧ください。ちなみに「なこ」は今も元気に闘病中ですよ!

 

↓「なこ」のブログ記事はコチラから↓

なこの闘病記録<第0話>→第5話まであります。症状~兆候~検査~診断の流れを実例をもとに解説しています。

なこの闘病記録<治療編>→治療編もあります。興味のある方はぜひこちらも。

 

 

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