7月のおしらせ <脅威!SFTS情報まとめ>

7月になりました。マダニ媒介感染症「SFTS」のニュースが続々出ています。旅行、お出かけシーズンを前に、毎月しつこいですが「ペットに対するマダニ予防」を今一度見直し、確認をお願いします。今回は「SFTS」についての情報共有として記事を書きました。犬猫に携わる方は必ず知っておいて欲しい知識です。

<重要>7月と8月の臨時休診のお知らせ

7月

7月30日(火)・31日(水)を臨時休診とさせていただきます。

8月

8月20日(水)・21日(木)を臨時休診とさせていただきます。

 

ご迷惑をおかけしますがよろしくお願いいたします。

 

 

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脅威!死亡例、被害例続出中「SFTS」の情報をまとめます。

「SFTS」という病気をご存知でしょうか?

このHPや当院LINE@では時々お話しすることもあるのですが、一般の方にはまだまだなじみの薄い病気かと思います。

SFTSは近年猛威を振るっている「マダニ媒介感染症」の一つです。ヒトよりもマダニ寄生が身近である「犬や猫のご家族」は絶対に知っておかなくてはならないテーマの一つです。マダニやノミ由来の感染症は、SFTS以外にもたくさんあります。ヒトでは日本紅斑熱、犬ではバベシア症が有名ですが、SFTSはヒトも犬も猫も感染報告があり、致死率が高いことからより重要な病気と言えます。

今回はこの「SFTS」について情報をまとめて、皆さんに共有したいと思います。ペットに携わる方は絶対に知っておかなくてはならない知識です。どうか最後まで目を通していただければと思います。

 

SFTSとは?

SFTSの概要、発生状況を厚生省のHPから引用し以下に記載します。

SFTSは、重症熱性血小板減少症候群(Severe Fever with Thrombocytopenia Syndrome)の略称で、マダニが媒介するSFTSウイルスによる感染症です。主に発熱、倦怠感、消化器症状(食欲不振、嘔吐、下痢など)が初期症状として現れ、重症化すると死亡することもあります。SFTSは、2011年に中国で初めて報告されました。以降、日本、中国、韓国、台湾、ベトナム、タイ及びミャンマーで患者発生が確認されており、東アジアや東南アジアでの流行が示唆されています。日本国内では、2013年1月、SFTSの患者(2012年秋に発症)が国内で初めて確認されて以降、2020年まで毎年60~100名程度の患者が報告されていました。海外渡航歴のない日本在住の患者から分離されたウイルスが、中国の流行地域で見つかっているウイルスのタイプと異なっていることから、以前から日本国内に存在していたと考えられます。2021年以降は、毎年100名を超える患者が報告されており、2023年は過去最高の133名の患者が報告されています。

重要なのは、発生数や発生範囲が年々拡大しているということです。動物病院の現場でもマダニ被害は年々増加傾向ですから、マダニ由来感染症が広がるのも当然かと思います。

 

SFTSはどのように感染するのか?

SFTSは基本的にはマダニに咬まれて感染が成立します。しかし、他の感染ルートもあるため、マダニに咬まれていないから大丈夫と言うわけではありません。とりわけペットを飼う方や、ノラ猫や地域猫などの世話をする方は十分注意が必要です。以下、厚生省のQAの内容を記載しておきます。

<Q>SFTSはどうやって感染するの? <A>多くの場合、ウイルスを保有するマダニに刺されて感染すると考えられます。また、野生動物やネコ・イヌなどの動物の血液からSFTSウイルスが検出された報告があり、 SFTSウイルスに感染したペットのネコやイヌとの接触により感染したと考えられる症例も報告されています。また、国外では患者血液や分泌物との直接接触が原因と考えられるヒトーヒト感染の事例報告が以前からあり、2024年3月に国内でも初めてのヒト-ヒト感染事例(患者→医療従事者)が報告されています。

 

ネコやイヌがSFTSに感染したらどうなるのか?

ネコやイヌがSFTSウイルスに感染すると、発熱や消化器症状などのヒトと同じような症状を示すことがあります。SFTSウイルスに感染している動物の血液など、体液に直接触れた場合、私たちヒトもSFTSウイルスに感染する可能性があります。実際に、ネコに咬まれたことが原因でSFTSウイルスに感染した事例が報告されています。

 

特に野生に近いネコ、いわゆるノラ猫や地域猫の取り扱いには本当に注意が必要です。これらの猫ではマダニ寄生が一般的となっています。つまりSFTSに罹りやすい生活をしているということですね。こういった動物の世話をする人は、常にSFTSのような伝染病に気を付けておかなければなりません。例えば、猫がグッタリしているからと言って安易に素手で触ったり咬まれたりしてしまうと、SFTSなどの病気が伝染してしまうかもしれないのです。十分な知識を持って、まずは自分の安全に最大限留意して取り組んでください。

 

マダニ寄生の対策はどのようにすればよいのか?

ヒトのマダニ対策(※厚生省Q&Aから引用)

マダニに刺されないようにすることが重要です。特にマダニの活動が盛んな春から秋にかけては、マダニに刺される危険性が高まります。草むらや藪など、マダニが多く生息する場所に入る場合には、長袖・長ズボン(シャツの裾はズボンの中に、ズボンの裾は靴下や長靴の中に入れる、または登山用スパッツを着用する)、足を完全に覆う靴(サンダル等は避ける)、帽子、手袋を着用し、首にタオルを巻く等、肌の露出を少なくすることが大事です。服は、明るい色のもの(マダニを目視で確認しやすい)がお薦めです。DEET(ディート)やイカリジンという成分を含む虫除け剤の中には服の上から用いるタイプがあり、補助的な効果があると言われています。また、屋外活動後は入浴し、マダニに刺されていないか確認して下さい。特に、首、耳、わきの下、足の付け根、手首、膝の裏などがポイントです。マダニに吸血された場合には、無理に引き抜こうとせず、皮膚科などを受診してマダニを除去してもらって下さい。

 

犬猫のマダニ対策

犬猫は通常は衣服や靴を装着することはありません。草むらや藪などを好む動物も多く、ヒトよりもマダニ寄生のリスクが高い存在です。予防は、動物用医薬品を使うのが重要です。市販のアイテムでは、予防効果が不十分なだけでなく、安全性にも問題があるものを確認しています。

 

当院では、様々なペットに対応できるように、たくさんのノミダニ予防・駆除薬をそろえています。

 

予防期間は特に決まりはありません。野生動物では通年のマダニ寄生が見られますし、アクティブな犬猫では一年通しての予防を強くお勧めいたします。

 

SFTS関連のニュース

最近のSFTS関連のニュースをピックアップしておきます。ココでは紹介しきれれないほど多くなっています。

  • 「マダニ SFTS」
  • 「マダニ ニュース」
  • 「マダニ ペット」

などで検索すれば数多くのニュースが出てくると思います。

 

マダニが媒介の感染症SFTS 神奈川の女性感染 関東では初

→7/17の最新ニュースです。関東では初ということで改めてSFTSの広がりがわかります。

 

マダニ媒介ウイルス感染症「SFTS」 秋田県の70代女性が発症

→SFTSは九州や西日本を中心に発生していました。東北地方での発生は異例とのこと。やはり病気の広がりが懸念されます。

 

【マダニ感染症】 愛知でSFTSで2人死亡…犬猫からうつる?今すぐできる対策

→最近報道があった、SFTSによる死亡例、ヒトや犬猫の予防対策も解説

 

飼い犬SFTS感染 茨城県内、ペット2例目

→茨城県での犬への感染の報告です。茨城は千葉の隣県です。他人ごとではありません!

 

屋外に脱走した飼い猫、戻ったもののマダニ媒介「SFTS」に感染し死ぬ…関東で初のペット感染

→以前も紹介しましたが、脱走した飼猫がSFTSに感染し死亡したケースです。コチラも茨城県、千葉のお隣です。

 

さいごに

今回は、近年猛威を振るっているマダニ媒介感染症「SFTS」の情報を共有させていただきました。

 

犬猫を飼っている方、犬猫に携わる仕事や活動をしている方は、絶対に知っておかなくてはならない知識です。

 

私は仕事柄、この病気が発生した当初からウォッチしていますが、大げさでなく本当に年々被害が拡大しています。

 

当初は、「九州など局地的なものかな」などと甘く見ていましたが、あっという間に全国的に広がってしまいました。

 

動物病院の獣医師や看護師も重篤な被害を受けた報告が出ており、今年に入ってからはSFTSの動物を診察した獣医師の死亡例も出てしまいました。

 

当院のような小さな病院では、SFTSのような危険な感染症の診察はできません。

 

どうか、皆様の大事なペットではマダニ予防を忘れずにお願いしたいです。

 

ときどき患者さんとお話ししてもまだ半数以上の方が「SFTS」の存在を認識していません。

 

まずはマダニ媒介感染症がキケンだと「知ること」。他人ごとだと思わず、ペットにはきちんと「予防して」いただくこと。予防には安全性と確実な予防効果のある「動物用医薬品」を使っていただくこと。

 

当院で診察させていただいてるペットたちが不幸な病気にならぬよう、ご家族に被害が及ばないよう、どうか、どうかよろしくお願いいたします。