8月のお知らせ <心臓病と言われたら?>

大変遅くなりましたが8月のお知らせです。今回のトピックは心臓病です。最後までぜひご覧ください。

また、8月は久々の臨時休診をいただきます。大変申し訳ございませんがよろしくお願いいたします。

最近ひどい雨が突発的に降っていますが、これから台風の多い季節となります。あの時の停電が思い出されますね。ペットを飼う方は、ペットのための備えも必要です。今一度見直してみてください。

 

8月21日(月)、22日(火)が臨時休診です!

今月は久々に臨時休診がありますのでご注意ください⚠

8/21(月),22(火)に夏休み(臨時休診)をいただきます。当院の定休診と合わせて8/20(日)~8/22(火)まで連休となります。

 

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ペットが「心臓病」と言われたら?

最近「心臓を診て欲しい」という依頼が続きました。当院の獣医師は、学生時代は心臓の研究をしていたり、卒後も画像診断(心エコーなど)に力をいれるなど、心臓病の診断や治療には力を入れて取り組んできたつもりです。お聞きすると「かかりつけで心臓のエコーができない」などの理由で転院されてくることが多いようです。

 

さて、犬も猫も心臓の病気は珍しくありません。特に犬では一般の方でもよく知られている「僧帽弁閉鎖不全症」という超有名な病気があります。

 

「心臓病」と聞くと恐ろしく感じると思いますが、臨床現場で遭遇する多くの心臓病が「老齢性」のもの、つまり老化現象の一つで穏やかにゆっくりと進行します。

 

心臓病の難しいところは「ご家族が実感しにくい」ということ。ほとんどの心臓病で初期~中期ぐらいでは具体的な症状が無く犬猫は元気に見えます。

逆に言えば、症状が出るころには「末期」となっていて、治療のスタートが遅れたり、治療自体が難しくなってしまうのです。

 

さて、今回は「犬猫の心臓病」について一般の方向けに解説したいと思います。

 

最初に結論というか、最も言いたいことをしゃべっちゃいますが、一般の方に一番理解してほしいことは「無症状だから大丈夫、ではない!」ということです。

 

では、解説していきましょう!

 

心臓の役割

心臓病を知るために、簡単に心臓の働きを説明します。

心臓は、全身の臓器に血液を送るための「ポンプ」として働いています。「ドックン、ドックン」の拍動のたびに酸素を豊富に含んだ血液を各臓器に送り込んでいるわけですね。ですから、もし心臓が動かなくなればそれは(あたりまえですが)死を意味することになります。どの臓器も血液が無いと働けないわけですから。

 

心臓は、簡単には「色んな臓器に血液を送るための機械」だと思ってください。つまり心臓が悪くなればその他の臓器も一緒に働きが悪くなるということです。心臓が悪くなるというのは、もはや心臓だけの問題ではないのですね。

 

心臓病とは?

さて、心臓病を解説します。

 

が、一言で心臓病と言っても、ものすごいたくさんの心臓病があります。すべては解説できないですが、重要なのは「心臓病になっている状況と言うのは、心臓の働きが悪くなっている」ということです。なんだか当たり前の話ですいません(笑)。

 

もう少し具体的に言うと、心臓の働きが悪いというのは「心臓が他の臓器に血液を送る、その効率が悪くなっている」と考えてください。イメージ的に説明すると、健康なときは一回のドックン(拍動)で100の血液を各臓器に送り込んでいたとして、心臓の機能が落ちているときは、それが80に減ってしまっている、そんなイメージです。80に減ると、各臓器からクレームが来ます。「おいおいもっと血液よこせよ、足りないよ」と。仕方なく心臓は健気にがんばります。がんばりすぎることで、心臓が肥大したり血圧が高くなったりするわけです。ごく簡単ですが、こんな感じで心臓病が進行します。

 

さて、どの心臓病でも、基本はこの「機能低下」が起こっています。

 

機能が低下すれば具合が悪くなりそうな気がしますよね?

が、実際は機能が少し落ちたからと言ってすぐに症状には表れません。というか無症状のことがほとんどです。

 

くどいようですが「心臓病の状況でも無症状のことがある」これを覚えておいてください。

 

心臓病の兆候

では、心臓病をどのように疑っていくかを説明します。

 

何度もお話ししているように、初期~中期ぐらいの心臓病では無症状のことが多いので「具合が悪い→検査→診断」の流れとはなりません。

 

初期の心臓病を疑うために最も重要なのは「聴診」です。

 

「聴診」で心音の異常(心雑音)を捉えたときに心臓病を疑うことができます。こういった、プロ目線で捉えるサインを「兆候」と呼んだりします。

 

一般のご家族は普通は聴診をしませんので、獣医師が身体検査時に聴診→たまたま心雑音を発見→心臓病を疑う。こういうルートがとても多いのですね。

ただ、くどいようですが、初期では症状が出ていません。

 

ですから、私たちが「聴診で異常があるので心臓病かもしれないですね」とお話しすると

  • 「え?元気なのに?」
  • 「ウソじゃねえの?」
  • 「信じられない!」

こういった反応になることも珍しくありません。まあ、元気なコを聴診一つで病気と言われたら、無理もない反応です。

 

しかし、プロとして聴診で異常を感じたら事実をお伝えしないわけにはいきません。聴診の異常=即心臓病ではないですが、やはりまず一度は精密検査(X線検査や心エコー検査)に進んでいただきたいと思います(我々もそのように提案しています)。これらの検査を実施すると、本当に心臓病かどうかの診断、および心臓病だった時のステージ(進行具合)を判断することができます。

 

心臓病と診断されたら?

もちろん病気の種類にもよりますが、心臓病と診断されてもビックリしすぎないでください。

特に、犬の僧帽弁閉鎖不全症に代表されるような老齢性の心臓病の場合は、初期で発見されれば急にどうこうなることはありません。

まずはステージに合わせて投薬するかどうかの相談になります。初期の初期ではまだ治療薬も必要ないことが多く、定期健診のみとなります。

 

今は昔に比べてお薬も良くなっていて長期管理がしやすくなりました。

 

ただ、老齢性の心臓病の場合は治ることはありませんので、ほぼ一生の投薬と定期健診が必要となります。病気の進行とともに、薬の数も徐々に増えていきます。

治療をしてもそれは「治す」ための治療ではありません。「進行を緩やかにする」「生活の質を良くする」そのための投薬、治療となるわけです。

 

犬の僧帽弁閉鎖不全症

最後に、最も多い心臓病である犬の僧帽弁閉鎖不全症について、簡単に解説します。現場で扱う心臓病の90%以上がこの病気です。患者さんも多くデータも豊富なため、獣医療域では珍しく、ある程度の治療ガイドラインが整っている病気です。

 

僧帽弁閉鎖不全症とは?

僧帽弁と言うのは心臓の中にある「とびら」で左心房と左心室と呼ばれる部屋を仕切っています。この「とびら」が老化とともに変化して「とびらの閉まりが悪くなる」現象が起きます。とびらの閉まりが悪くなると、本来一方通行に流れるべき血液が「逆流や乱流」を起こします。この状況を「僧帽弁逆流」とよび、これによる心臓病に「僧帽弁閉鎖不全症」という名前がついています。

 

僧帽弁閉鎖不全症の診断

この病気は老化による心臓病でゆっくりと進むことが多いです。今まで何度も述べたように、初期は無症状のため、この病気を疑うのは聴診で異常=心雑音を発見した時となります。多いパターンは、ワクチンやフィラリアの予防で来院されたとき、身体検査で聴診を実施し心雑音を聴取→この病気を疑う、というパターン。

心雑音を聴取した場合は、確定のための画像検査をご提案します。

画像検査では、胸部X線だけでなく、心臓のエコー検査が必須です。当院では心エコー検査の訓練を積んだ獣医師が精力的に診断をしています。一昨年には当院のエコー機械も新しくなり、より診断の精度が高まりました。

 

僧帽弁閉鎖不全症の治療

わかりやすいように、初期、中期、末期に分類してお話しします。

  • 初期→無治療、もしくは1種類の投薬
  • 中期→1~2種類の投薬
  • 末期→3種類以上の投薬

こんなイメージとなります。1~6カ月毎ぐらいに定期健診を実施し、投薬の種類や投薬量を調整していくイメージです。基本は飲み薬を飲んでいても病気は徐々に進行してしまうため、お薬は必ず増えていくことになります。当然お薬をやめるタイミングもなく、ほぼ生涯にわたる治療となります。

<補足:外科手術について>  受ける患者さんはかなり少ないですが、僧帽弁閉鎖不全症に対する外科手術も存在します。外科は根治を目指すために実施しますが、超専門的な内容ですので、手術が可能なドクターや施設に限りがあります。院長は同級生の友人にこの手術に携わる人間がいますので、もし手術を希望される方がいれば、その友人獣医師を紹介するつもりですが、今まではそういう方がまだいません。費用や麻酔リスクなどの面から、手術を選択されない方がほとんどとなっています。

 

まとめ

さて、ごく簡単に心臓病についてお話ししました。病気については、犬の僧帽弁閉鎖不全症が最も多いのでこれについてのお話をしましたが、実は個別の心臓病のハナシはぶっちゃけどうでもよく、くどいかも知れませんが、最もお伝えしたかっったのは初期は無症状なんだよ」ということです。逆に言えば心臓病の場合、症状が出てからでは遅い(末期)ということ。

 

どんな病気でもそうですが、初期で対応するに越したことはありません。初期で対応した人と、末期から対応した人が同じ未来をたどるなら、初期で対応する意味はありませんよね?

 

身体検査のたびに聴診し「心雑音が出てますね~」と何度もお話ししても、あまり耳を傾けてくれない方も結構いらっしゃいます。

 

理由は「元気だから」

 

そして、末期になって明らかに具合が悪くなってから「何とかなりませんか?」とお願いされます。

 

もちろん、できる限りの治療をご提案しますが、無症状の初期からがんばって対策してきたケースとは違ってスムーズにはいかないですし、結果も悪くなりやすいです。「それ」を求めるのはちょっと考えが甘いですよね。

 

聴診で「心雑音があるよ」と言われたら、どうか私たちを少しだけ信用していただいて(笑)、なるべく心臓病の検査を受けてみてください。検査結果をもとにどのように対応していくのが良いのか?しっかりと丁寧にご説明します。

 

また、セカンドオピニオンとして「心臓の検査をしてほしい」なども随時お受けしています。当院の獣医師は、心臓病の専門医ではないので、自分の能力の範囲ではありますが、できるかぎりしっかり対応したいと思います。本当に難しい症例の場合は、二次診療病院をご紹介することもありますが「かかりつけで心エコーができない!」などの時はまずご相談いただければと思います。

 

それでは。