明けましておめでとうございます。新しい年のスタート。ペットの一年の大まかなスケジュールを決めるのにも良いタイミングです。「健康診断やペットドックはどうしようか?」「今年は歯科治療を受けようか?」「避妊や去勢を考えようか?」など、このタイミングでペットの人生に関わることを色々と考えてあげましょう。もちろん、わからないことは当院にどんどん聞いて下さい。
1/31(火) 臨時休診
1/31(火)を臨時休診とさせていただきます。ご迷惑をおかけしますがよろしくお願いいたします。
※その他、日曜祝日が当院の定休診です。あわせてご注意ください。
P.S. 休診案内などはLINEが便利!
臨時休診などの案内はLINE@が便利です。画像のように看板犬マルちゃんがお知らせ!まだの方はぜひご登録ください。
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値上げのご連絡 m(__)m
みなさまも身の回りの日用品や食料品が値上がりしていることを肌で感じていると思いますが、動物病院業界でも各メーカから値上げの報告が相次いでいます。
- 注射器などをはじめとする治療用消耗品
- 医薬品
- 検査用消耗品
- ソフトウエアなどの利用料金
などなど、昨年後半からすでに値上がりとなっているモノもありますし、今後値上がり予定のモノもあります。
値上がりしてない製品でも、コロナ禍以降は、様々な製品で欠品や品薄が相次いでおり「手に入るときに多めの在庫確保をしなくてはならない」という在庫リスクも大きくなっている現状です。また、光熱費の負担が大きくなっており、特に電気料金は20~30%以上のコスト増となっています。
そのため、大変申し訳ございませんが当院でも、1月から一部価格改定を実施することにいたしました。
多くの皆様に関連のある項目としては
- 初診料・再診料→それぞれ100円づつの値上げ
- 混合ワクチン→それぞれ500円づつの値上げ
- 検査費用(血液検査、X線検査、エコー検査の一部)の値上げ
となっています。
また、一部の医薬品(注射、内服)も値上げとなっています。
なお、近日中値上げとなる製品につきましては、そのタイミングで価格改定を実施する予定です(ペットフードや医薬品で日程が決まっているものがあります)。
みなさまには大変申し訳ございませんが、ご理解ご協力よろしくお願いします。
冬の風物詩? 膀胱炎のお話し
昔から冬になると「膀胱炎が増える」と言われています。寒くなり、飲水量が減るからとされていますが、本当のところはわかりません。ただ、確かにこの時期になると「なんとなく多いな」という感覚はあります。
このブログ記事を書いている日にも、膀胱炎の診察が3件続きました。
今回は「膀胱炎」について一般的なお話しやご家族ができる対策をお話ししたいと思います。
膀胱炎とは?
文字通り、「膀胱」で「炎症」が起きている状況です。よく「○○炎」という言葉がありますが、病名と言うよりも状況を表した言葉ですね。
膀胱とは?
みなさまご存知の通りオシッコをためる臓器です。貯めるには伸び縮みする必要があります。風船のように膨らんだりしぼんだりするイメージですね。
炎症とは?
病理学的には炎症とは「発赤、疼痛、掻痒、腫脹、機能障害」などを示す状況とされています。まあ難しいんで、腫れたり、赤くなったり、痒くなったり、痛くなったりしている状況と思ってください。多くは「身体を守っている炎症細胞(=自衛隊)が外敵(細菌やウイルス)と戦っている状態」が炎症だと思ってください(※一般の方向けの記載です)。
膀胱炎になると、膀胱が腫れます。そのため以下のような症状が良く見られます。
- 膀胱が腫れいつもより伸びないので、一度にためられる尿量が減ります。つまり一回の尿量が少なくなります。
- 膀胱が腫れいつもより縮まないので、出し切れず残尿します。残尿感があるので一回の排尿時間が長くなります。
- 膀胱が腫れると、毛細血管が拡張し血球成分が漏れます。そのため血尿のサインが見られるようになります。
膀胱炎の状況や症状はこんな感じで捉えていただけると、イメージしやすいと思います。
膀胱炎はなぜ起こる?
さて、なぜ膀胱炎が起こるのでしょう??
わかりやすい例としては上述したように細菌などが侵入し戦っているケース(感染性膀胱炎)、診察でも一般的に良く遭遇します。
ただ、原因が良くわからないけど炎症を起こす(突発性膀胱炎)ということもあります。オシッコにはいろいろな物質が含まれているので、例えば長くガマンしたときなどに自分のオシッコ自体が引き金、刺激因子となって炎症の原因になったり、膀胱が伸びすぎたことで炎症の引き金になったりすることもあるようです。
他には、大きな膀胱結石が膀胱内でころがっている場合も、その刺激により炎症が起こることがあります。
膀胱炎の治療は?
全ての病気に対して同じですが、炎症をおこしている原因によって治療法は変わります。
膀胱炎の原因が細菌感染なら?
しっかりとした抗生物質の治療が必要です。再発の多いトラブルなので比較的長期の投薬になることが多いです。
膀胱炎の原因が膀胱結石なら?
大きい結石やたくさんの結石は外科手術で摘出します。わずかな結石や結晶(結石の素)であれば、内科的に観察することもあります。
膀胱炎の原因が突発性(上記以外)なら?
しっかりとした水分補給、場合によっては点滴をして尿量を増やします。消炎剤を使用することもあります。特に猫では気分よく排尿できるようなストレス対策も重要です。
ただし、これらの原因はすぐわからないことも多いです。なぜかというと原因追及には尿検査が必要なのですが、膀胱炎の時はオシッコがたまっていないことが多く検査が難しいことも少なくありません。膀胱炎の時のジレンマです。
その場合は原因不明ですが、状況的に考えやすいことに対しての試験的な治療となるケースも多いです。
膀胱炎の対策は??
膀胱炎は同じ動物が繰り返しやすい病気の代表です。
同じコが繰り返すということは、膀胱炎は体質や性格的な側面が要因になっているということ。
膀胱炎のリスク因子を列挙すると、
- 雌犬
- 肥満
- 食事
- 遺伝(体質)
- 特定犬種(体質)
- 水を好まない(性格)
- ストレスを受けやすい(性格)
などが挙げられます。逆に言えば、この中で、対策可能なものを考えるということです。
「体質」の部分は変えることの難しい部分。雌犬であるということも変えようがありません(笑)。
なので、対策可能なのは
- 過度に太らせない
- 食事に気を遣う
- 繰り返しやすいコは治療用食に切り替える
- 飲水を促す工夫をする
- なるべくストレスをかけない
ということになりますね。
当たり前ですが、このうちどれか一つができればいいというわけではありません。膀胱炎の再発を減らしたいのであれば、取り組めるものからどんどん取り組んでみてください。
一文でまとめると「よく水を飲んで、オシッコを我慢しない、食生活には気を付ける」となりますかね(笑)。
これらの対策は、犬では比較的取り組みやすいのですが、猫の場合は犬に比べ難しさが段違いです。猫はもともと水をそれほど飲みませんし、ちょっとのストレスでオシッコをガマンしやすい動物です。猫の方が再発も多く、治療用食も多くのメーカーからたくさんの製品が出ています。
いろんな対策アイデアは私たちも直接アドバイスしますのでいつでもご相談ください。
インターネットでもたくさん情報があると思いますが、一発で改善するサプリやアイテムはありません。
ときどき「このサプリをやってるのに治らない」あるいは「このトイレにしたけどダメ」みたいな方(それ以外の対策ナシ)がいますが、それだけで完璧な対策ができるほど甘くはないです。様々なことをコツコツ組み合わせ対策し、ペットの健康を守りましょう。
自宅ケアや対策は「楽なほうがいい」と言うお気持ちはよくわかりますが、そこに付け込むのがサプリなどの商法の神髄です。何事も、地道な積み重ねが大事なのでご注意を!
こんな時は気を付けて!
基本的に、単純な膀胱炎であればすぐに命にかかわることはありません。
しかし、同じように「オシッコがなかなか出ない」「オシッコの量が少ない」という時に、気を付けるべきことがあります。
同じおしっこが出ない&少ないでも
- 出口がふさがってオシッコが出ないとき(尿道閉塞:オス猫に多いです)
- 腎臓がオシッコを作っていないとき(急性腎不全:中毒などでなることがあります)
この二つは命の危険がある病態です。
一般の方には見極めが難しいと思いますので、わからなければ早めにご相談ください。なお、この二つの場合は、単純な膀胱炎に比べるともっと具合が悪いことが多いです。
- 一滴もオシッコが出ていない
- 食欲や元気がない、グッタリ
- ゲーゲー吐いている
- オシッコの時に苦しそうに叫ぶ
などの時は、単純な膀胱炎ではないかもしれません。早めの受診をお願いいたします。
まとめ
膀胱炎はとても繰り返しやすいトラブルです。
対策は、ご家族が日々コツコツ取り組む必要があるので大変だとは思います。しかし、膀胱炎を繰り返すと「結石摘出のオペ」が必要になったり、膀胱の機能が落ちて「早期に慢性腎臓病」になったりする可能性もあり、意外と馬鹿にできない病気なんです。
再発が多い患者さんでは、そのコそのコの体質や性格に合わせて、ベストな対策を考えてみてください。
とりあえず、治療用食に変えることはとても簡単で有効な対策の一つです。
治療用食をおススメすると「病院が儲けるため」みたいに思われがちですが(笑)、実際は食事は販売しても利益がほとんど出ません(笑)。当院でも食事の在庫はかなり少なくしています。今は、治療用食も専用のインターネットサイトから直接購入できるメーカがほとんどなので、多くの場合その案内をお渡ししています。
経験的には、きちんと食事管理ができているペットの再発率はかなり低いと感じています。手っ取り早い対策としてはとても有効なのでぜひご検討を。
それでは長くお付き合いいただきありがとうございました。