6月になりました。本格的な夏に向けてあとわずか。今年はコロナ渦だけでなく地政学的な理由もありエネルギー資源が不足し、価格も高騰しています。夏の冷房も思うように使えない可能性もあります。ペットのいるご家庭では様々な暑さ対策を考えておく必要があるかもしれません。
それでは6月のお知らせです。
フィラリア予防がスタートしました。
この地域のフィアリア予防は5月下旬~6月上旬がスタートです。予防を希望の方はお早めにフィラリア検査にご来院下さい。検査は血液を一滴いただくだけで、結果もすぐに出ます。
動物病院によってはフィラリア検査を省くところがありますが、全てのフィラリア予防薬の説明書きには「診察やフィラリア検査を行い安全を確認してから処方すること」と指示されています。当院では、フィラリア抗原検査を原則行うこととしています。
確かに毎年確実にフィラリア予防薬を投薬されている方の場合、フィラリアが感染している可能性はほとんどありません。しかし、万が一感染状態で予防を開始すると重篤な副作用を起こすことがあります。予防のために具合が悪くなってしまっては何をやてるのだかわかりません。安全に予防するためにも、検査にご協力ください。
お薬は、月一回飲むのが一般的です。一番人気はおやつタイプ、シンプルな錠剤タイプもご用意しています。どうしても飲むのが大変な方には、注射タイプもご用意があります(一回の注射で一年OK)。ご希望があればお申し付けください。
なお、先月の記事でも書きましたが、フィラリアとマダニやノミを同時に予防するお薬(オールインワンのお薬)は当院では取り扱いがありません。理由は「5月のお知らせ」の記事をご覧ください。
「フィラリアはフィラリア」、「マダニはマダニ」で全く別の虫、病気です。当院ではみなさまには「別々に予防するのが当たり前」と思っていただくことをお勧めしています。
狂犬病予防は6月末までを目安に
狂犬病予防は6月末ごろまでに接種するよう法律で決まっています。当院では常に用意がありますのでお気軽にご相談ください。特別な事情がない限り原則接種が必要です。闘病中や体調不良の場合の接種については獣医師にご相談ください。
- 注射料金…¥2,950(税込)→クレジット支払いも可能です。
- 注射済み手続きの費用…¥550(非課税)→市へ納める手続き費用なので必ず現金でご用意ください。
※キャッシュレス化が進んでますが、市への手続き費用は現金のみの対応となります。お間違えのないようにお願いいたします。
できてますか?体重管理
動物病院では4~5月が最もワンちゃんの出入りが多くなります。狂犬病、フィラリアなどの予防が重なるからですね。元気で健康なワンちゃんだと、一年に一回、この時期にしか会えないコもいます。
さて、来院時には基本「体重測定」を行います。
体重をお伝えすると「こんなに増えているの?!」とビックリされるご家族が本当に多くいらっしゃいます。
体重のことなんてあんまり聞きたくない話かもですが、ここでは「体重にまつわる動物病院あるあるのお話」をいくつかしたいと思います。本当に動物病院ではどれもよくある話です。いろんな気づきがあると思いますので、ぜひご覧ください。
いつチェックしても体重が増え続けるペット
病院で体重計測するたびに体重が増えるペットがいます。時々上下するのは普通ですが「いつ測っても増えている」というのは異常事態です!基本的には、食事や嗜好品(おやつ類)のやり方がおかしいということになります。貯金や株価ならうれしいですが、体重が右肩上がりはアウトです!こういう時は必ず食事やおやつのやり方を抜本的に見直してください。
「うちの子はゴハンを食べない」のに肥満のペット
何を言ってるのか意味が分からないかもしれませんが、動物病院では本当によくある「あるある」のハナシです。「うちの子はゴハンぜんぜん食べないんですよね~」というペットに限ってなぜか太っているのです。
これはつまり「正しい食生活ができていない」という意味になります。言い換えれば「うちの子はバランスの良い食事を食べないんですよね~」ということ。太るにはたくさんのエネルギーを摂る必要があります。嗜好品やおやつ類でエネルギーを満たすどころか必要以上に摂取していて、バランスの良い食事はたべないという状況ですね。こういうペットは概して偏食で美味しいものを知りすぎているため「それ」しか食べず肥満に陥っています。
散歩を増やせば体重が減ると思っているご家族
ちょっと太ってきましたね、と話すと「散歩を増やさなきゃ!」とおっしゃるご家族がとても多くいます。気持ちはわかりますし、散歩自体を増やすことはとても良いことですので、ぜひ取り組んでいただきたいのですが、残念ながら散歩だけで瘦せようとするのは不可能です。
少し考えればわかると思いますが、私たち人間も、たくさん歩いたからと言って暴飲暴食をくりかえしていたら痩せることはありませんよね?。まあ、若いうちは大丈夫かもしれませんが、ペットにおける若いうちと言うのはせいぜい一歳まで。それ以降は人間でいう中年ですから、割と簡単に太ってしまいます。痩せるには、散歩だけでは無理で適切な食事管理が絶対に必要になります。運動で痩せたい場合は「トレーニングレベルの運動」が必要になります(普通は不可能ですよね)。
太っている方が健康?太っているからカワイイ?
まあ本音と言うより、おそらくちょっとした言い訳だと思いますが、時々こういうことを言うご家族がいます。「太っているのがカワイイ」、「栄養蓄えてるから病気にならない」…etc、無理くり理由をつけている感じですね(笑)。おそらくご家族もわかっているのですが、認めたくないという心境なんだと。
しかし、ペットの立場になってみてください。ペットは自分で食事を用意することもおやつの袋を開けることもありません。この子たちは本当に自分から太りたい、と思っているのでしょうか?。肥満は内臓疾患や代謝性疾患、関節疾患など様々な病気の引き金になります。自ら病気になりたいと思うヒトがいないのと同じで、ペットたちもそう思っているのではないでしょうか?。
ペットが自分で食事やおやつを用意できない以上、肥満や肥満からくるトラブルについては「ご家族のさじ加減で決まる」ということになります。キツイ言い方かもしれませんが、ご自身のペットを太らせているご家族は、「病気にさせている」とも言えます。欧米では、ペットをあまりに太らせると、動物虐待とみなされ通報されることがあるようです。人間側、飼主側の責任として厳しく追及されるわけですね。ペットも病気はイヤなんじゃないでしょうか?皆さんはどう思われますか??
さいごに
さて、いくつか体重にまつわるお話をしましたが、基本は「肥満」に関係するお話でした。しかし、診療をしていると肥満のペットは本当に多く、70%以上が肥満~肥満傾向、適正体重&痩せている動物は30%以下です。たくさんの動物を見てきましたが、肥満でいいことは一つもありません。痩せるのは難しく、太るのはカンタンです。普段から少しスリムぐらいがちょうどよいのですが、そういうペットは全体の1割いるかどうか・・・。
体重は重要な健康状態の指標です。ぜひ、定期的に計測してベスト体重を目指す意識を持ってください。