こんにちは。
これからの時期、狂犬病予防など、ワンちゃんの予防シーズンなどが始まることもあり、来院患者様が増えてきます。
そこで、今回はご来院の時の注意事項をお話しします。まず、第一弾として犬の飼い主様へ。
【犬の飼主様へ】
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ワンちゃんをお連れの際は、必ずリードを装着してください。もしくはカゴに入れてでも結構です(ただし、不用意にカゴを空けて、飛び出すことがないようにしましょう)。
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待合室や駐車場でワンちゃんをフリー(ノーリードや不必要に長いリード)には絶対にしないでください!
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ご自身のワンちゃんを、不用意に他の動物(犬や猫)やほかの飼主様に近づけないようにしましょう。
「いちいちうるさいな~」、と思うかもしれません。でも、こういう注意をさせていただくのには理由があるのです。
私たちは動物のプロです。自分も動物病院で15年以上経験を積んできました。そうすると、残念ながら、様々な事故に遭遇します。
【事故の例】
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待合室でノーリード、病院のドアが開いた時に犬が逃走→車と衝突。
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自分の犬を不用意にほかの犬に近づけてケンカ、流血事件の大参事に。
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リードが長かったので犬が他の飼主に飛びかかりケガを負わす→その後、飼主同士でのいざこざ。
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駐車場でフリーにしたためほかの車に轢かれる(車から犬は非常に見えずらいのです)。
ウソじゃないですよ。長くやってると、ホントにこういうことがあるのです。で、こういうお話をすると、ほとんどの方が
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「あ、ウチは絶対大丈夫」
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「いやいや、ウチの子はおとなしい」
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「ウチの子に限って~」
と、おっしゃいます。
でもですね、実際にこういう事故を起こした当事者の方は、みなさん口をそろえて、おんなじことを言うんですね。
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「今までは大丈夫だった」
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「いつもはおとなしいのに」
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大事なこと一つ目。
「絶対に大丈夫という事はない」という謙虚な姿勢です。
話はそれますが、先日10か月の赤ちゃんが犬(ゴールデンレトリバー)に咬みつかれて死亡するという痛ましいニュース(朝日新聞)がありました。
誰もがこんなことになるとは、思っていなかったはずです。普段は咬みつくような犬では無かったのかもしれません。それでもこういう事故が起きてしまうのです。起きた事故が、取り返しのつかない事故の場合、悔やんでも悔やみきれないと思います。事故が起きてからでは遅いのです。
動物たちは、時に、私たちが予想もできない様な行動に出ることがあるのです(それは、われわれ人間でも同じかもしれませんが)。
ですから、うちの子はノーリードでも「絶対」大丈夫とか、人間や他の犬を咬むことは「絶対」に無いとか、そういう「絶対」は思わないで欲しいのです。なにも、「あなたの犬はしつけできていない」とか「あなたの犬は凶暴だ」とか、そういうことを言っているわけではありません。犬は自衛のために逃走したり、攻撃したり、そういう行動に出る可能性があることを知っていてほしい。
「ひょっとしたら~」とか、「もしかして~」という、謙虚な姿勢でいてほしいのです。
それが重大な事故を防ぐことになります。私たちは、もう自分の身近で同じような事故を見たくはありません。
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そしてもう一つ大事なこと。
「自分の価値観が全てではない」という事。
全ての人間が「犬好き」ではないのです。犬は苦手なんだよね~、とか犬は怖いとか、そういうヒトも多数います。
「え?、そんなヒトは動物病院にはいないでしょ?」
いえいえ、そんなことはありません。
猫の飼主さんの中には、犬がダメというヒトは結構います。実際、待合室にいると犬が近づいてくるのが苦手で、お車でお待ちする飼主さんもいます。
犬が大好きな方にとっては、犬が苦手というヒトの事が、理解できないのかもしれません。でも、いろんな人間がいる、というのは人間社会ではものすごく当たり前のことですよね?ちょっとだけ、ちょっと考えてもらうと、それがわかっていただけると思うのです。
また、意外かもしれませんが、すべての犬が「犬好き」ではないんですね。犬が苦手な犬、と言うとなんだか変な言い回しですが、他の犬が近づくとパニックになってしまうワンちゃん、普段は温厚なのに特定の犬種に攻撃してしまうワンちゃん、こういう犬が実際に存在します。
ですから、安易に他のヒトや動物にご自身のワンちゃんを近づけない。逆に自分も安易には近づかない。いろんな価値観があること、いろんな可能性があることを考えておきましょう。
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注意事項とかめんどくさいな~、と感じていた方も、
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「いろいろ、理由があるんだな」
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「そうなんだ、気をつけなきゃな」
と思っていただけたでしょうか?
当院をご利用のみなさまが、不幸な事故にあわない様、巻き込まれない様、こうしていくつかの注意事項をお伝えしています。時に、厳しくご指導させていただくこともありますが、皆さまと動物たちが安心して当院をご利用できることを願っての事です。どうかご理解いただけると幸いです。
さて、次回は来院時の注意事項【猫編】です。
つづく・・・。