【第2話】病院の猫がリンパ腫になりました。


第2話 精密検査って何?

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リンパ腫(悪性)になってしまった「なこ」のお話はつづきます。第1話は「なこ」の症状と兆候ついてのお話、そして今回から数話にかけて実際に「なこ」に行った検査のお話をすすめていきます。

今回の第2話は導入として「検査」についての全体的な内容とします。

さて、突然ですが一体何のために「検査」をするのでしょうか??

→当たり前すぎてすいませんが、病気の確定診断をするためですね。

じゃあ、なぜ確定診断するんでしょうか?

→もちろん治療して動物の病気をよくするためです!

検査→診断→治療

これが基本(当たり前すぎてスイマセン)。

まあ、これは理想論で、実際の現場では検査しながら治療を並行して行うとか、確定診断もすぐにわかることは少ないので暫定的な診断で治療を進めるとか、そういうことがほとんどです。

ただ重要なのは「治療するために検査しているんだ」ということです。

検査は目的ではなくて手段。治療が目的ですよね?当たり前のことのようですが実際の診療現場では(飼主さんにもよりますが)このへんの感覚がよくわかっていらっしゃらない方もいるようです。

さて、話を「精密検査」に戻しましょう。

精密検査とは____?

特に定義はありませんが、いろいろな臨床検査を駆使して、身体の状況をすみずみまで調べることです。すでに述べたように、病気があればそれを見つけて診断し、治療に結びつけることが目的になります。大事なのは「いろいろな臨床検査」というところです。

たった一つの検査で身体のすみずみのことがわかるほど、医療は単純ではありません。

私たちが患者さんの状況を正確に把握するには、複数の検査結果を組み合わせて考える必要があります。

代表的な検査として

  • 基本の検査→身体検査、触診、聴診など
  • 体液の検査→血液検査、尿検査など
  • 画像検査→X線検査、超音波検査、CT検査、MRI検査、内視鏡検査など
  • その他の検査→糞便検査、血圧測定、心電図検査、眼科検査などなど多数

以上のようなものがあります。

重要なので繰り返しますが、上記の検査は補完しあって成り立つものであって、どれか一つの検査とその結果で正確な状況の把握はできないということです。

第1話でお話ししたように、病気を疑ったときわれわれは精密検査を提案するのですが、飼主さんには、「どれか一個にしてよ」「いっぱい検査するのはかわいそう」「お金かけられない」などと言われることがあります。

くどいですが、一つの検査検査だけで、すべてがわかるほど医療は甘くはありません。

「そんなこと言わないでプロなんだから、どれか一個の検査でアタリつけてよ」

と言われてしまうこともありますが、私たちはエスパーでも魔術師でもないのです。ただ、医療のことを一般の方よりも多く勉強してきただけ。ですので、超能力じみた診断はできないし、してもいけません。

最低限の検査や治療で上手くハマれば「名医」ですが、悪い結果ならただの「やぶ医者」です。名医とやぶは紙一重です。

「わかりました」と一つだけの検査を行うことは簡単です。とりあえず検査費用もいただけますし(笑)。でもそれは本当に動物たちのためになっているのでしょうか?

せっかくやった検査も、診断に役立たなければ、治療につながらない。ようは動物のためにも飼主さんのためにもなりません。

最初に述べたように、検査の意味は治療につなげる=良くすることにあります。検査をすることは手段であって目的ではないのです。ですから、目的を達成できない手段(=検査)は獣医師として推奨できません。

と、ここまでわりとマジメに話をしましたが(笑)、もちろんケースバイケースで、とりあえず血液検査だけ、とか超音波検査だけとかそういうことも多々あります。ただ、重い病気を疑う兆候がある場合は、基本的には一通りの検査(精密検査)をご提案するようにしています。

さて、では精密検査では具体的にどんなことをやるのでしょうか・・・

  • 血液検査一通り
  • 尿検査
  • X線検査
  • 超音波検査

など、上記のような内容を最初にやることが多いです。これは一次的な動物病院だとどこも同じような感じでしょう。

なぜこの組み合わせかというと____

  • 全身麻酔がいらない(動物によっては鎮静などが必要)
  • 一般病院で実施可能なものが多い
  • 速やかに結果が出るものが多い(外部検査以外)
  • ある程度の病気のスクリーニング(病気のふるい分け)ができる

ということが理由になります。

もちろん、検査の種類は他にもたくさんありますし、最初からもっとたくさんの検査をしてもよいのですが、他の検査は全身麻酔が必要なもの、あるいは検査設備のある病院に紹介しないとできないものが多くなります。

ですので、当院のような一次病院では上記のような内容を精密検査と呼び、病気を疑う初回に実施することが多いのです。

実際、「なこ」の精密検査では上記の組み合わせを「まずは」実施しました。「まずは」です。この検査を実施した後に「さらなる精密検査」がありますので。。。

長文になりすいませんでした。

次回からは、いよいよ「なこ」に実施した検査一つ一つの意味とその結果をお話ししていきたいと思います。まずは血液検査から。皆様もなじみのある検査だと思います。それでは更新をお待ちください。。。

(つづく)→【第3話 病院の猫がリンパ腫になりました。~「なこ」の検査その① 血液検査~】